Vol.77 キューバンダビドフの誘惑 後編


先月のコラムはいかがでしたか?
バーのネタになりましたか?
77回目は、キューバンダビドフの誘惑。

キューバン・ダビドフ・ナイトも間近!今はもう中々手に入らない幻の葉巻、キューバンダビドフについて、ヒロ嶋田さんの体験談とは…?
今回のコラムも楽しみですね!(2014年4月)

>>前回のコラム『キューバンダビドフの誘惑 前編』はこちらから!

ヒロ嶋田さんご紹介

長くシガーダイレクトのシガーアドバイザーをつとめてくださったヒロ嶋田さん。シガーに関する専門コラムである「スモーキートーク」は、シガーダイレクトの各種ページの中でも常時ベスト3に入るほど、固定のファンがいらっしゃいます。
「なんでも鑑定団」の喫煙具鑑定士さんも「あいつの舌は特別」と
おっしゃっていたのをお聞きしたことがあります。

「葉巻は嗜好品である。
自分の生活スタイルに色づけをする小物にすぎない。
大切なことは人の意見に振り回されることなく自分流を演出しよう。」
というスタンスは今も変わることなく、今月も原稿が届きました。


ヒロ嶋田さんと葉巻の出会い

ジーノ・ダビドフは、キューバ政府というよりカストロとの関係を築き、キューバでの葉巻の自社生産を始める。

それは、1967年のことであったが、それから約30年に渡りハバナの優位性を世界に広めていった。
先にも書いたが、ネーミングにも愛好家の心をくすぐるよう腐心されていた。

シャトーシリーズなどは、その最たるものであろう。
「シャトームートン」「シャトーマルゴー」「ドン・ペリニオン」など、
ワインのようにシガーを嗜む大人の拘りが垣間見える。

キューバンダビドフの葉巻葉は1998年まで、
ローリングとシッピングは、1992年で終了した。

ダビドフがキューバから撤退し、次に選んだ生産地はドミニカ共和国だった。
キューバでの生産は、クオリティとクオンティティのせめぎ合いだったという。
世界中の顧客からの注文に答えるには、キューバの生産体制はあまりにも頼りなく、また確実性にかけるダビドフが、政府の葉巻アドバイザーであったとしても、東側の国に対して葉巻の国内生産に対して、内政干渉までは、出来ない。

「キューバを諦めて、他の地へ移っていった」というのが表向きの理由だ。しかし、そうであればドミニカとキューバで平行して生産を重ねていけば、良いではないか。


ダビドフとキューバの確執




トリニダッド


コイーバ
現在生産されているダビドフの葉巻は、ドミニカ共和国製が中心であり、アメリカの輸入葉巻もドミニカ共和国からのそれが、圧倒的多数を占めている。

ダビドフの戦略は、キューバに固執するより、ハバナを手に入れることが出来ないアメリカ市場で、確固たる地位を確立することではなかったのではないだろうか。
また、キューバ政府に対する、確執もその一端だったのではないだろうか。

キューバ政府主催の公式の場で供されるのは「トリニダッド」以前には、「コヒーバ」だった。コヒーバは、長らく幻の葉巻だったのは、ご存知だろう。これが市場開放されアメリカを除く世界中で販売されることになれば、キューバで生産しているダビドフは競合になる。

コヒーバとダビドフが高いレベルでの葉の品質を保つためには、生産する畑もシンクロしてくる。面白いことに、コヒーバ・ランセロダビドフNo1は、同じシェイプだ。
ダビドフがキューバから葉巻生産を撤退すれば、キューバ政府が葉巻ビジネスを寡占できる。かくして、ハバナはキューバの元に返った。


一番最初のシガーブック

キューバンダビドフを語る上で欠かせないものが、ジーノが書いた
THE CONNOISSUR’S BOOK OF THE CIGAR」だ。シガーボックスのような表装に、シャンパングラスを掲げた女性が描いてある。ハードカバーも表紙をめくるとシガーの絵が描いてあり、リングに「LEDY MARY」とある。
シガーの入門書とも言えるこの本は、ダビドフのシガーへの愛情を記してある。
日本でもシガーブックが多数刊行されたが、この本がほとんどのモデルになっている。

内容を解説するのは、読者の楽しみを奪うことになるので、ここでは割愛する。筆者がこれを手に入れるために、数年の時間を費やしたが、現在のインターネット全盛の時代、探せば容易に手に入る。


ダビドフの遺産を愉しむ夜

葉巻を喫煙したことがない人がする質問は、2〜3種類しかない。
ひとつは、葉巻の紫煙は強いのか。それを吸い込むとどうなるのか。
もうひとつは、ワインのように保管すると、どれくらいの年月、美味しさを保てるものなのか。

最初の質問は、笑って過ごすことにして、二つ目の質問は、慎重に答えるようにしている。
シガーの保管には、様々な要因が絡み合って、そのクオリティを維持できるかどうかが決まる。
今度のパーティに用意されるキューバンダビドフは、何十年もイギリスの愛好家によって管理され熟成を重ねてきたものだ。
しかし、紫煙を燻らせるまでは、どんな貴重な葉巻でも、その味わいを表現することは出来ない。

ダビドフの遺産を、堪能する機会は、これからも多くはないだろう。
その誘いに惹きつけられて会場を訪ねよう。


下のフォームから今月のコラムの感想をヒロ嶋田さんに届けましょう!


下記フォームに必要事項を入力後、確認ボタンを押してください。

■お名前 ※必須
■Mail(半角) ※必須
■コメントはこちらから!




当コラムについての著作権はすべてヒロ嶋田氏に帰属します。
お問い合わせはシガーダイレクトまで

   
ヒロ嶋田のスモーキートーク
バックナンバー
Vol.1 7C‘s
7つのCとは・・?
Vol.2 クリント・イーストウッドとシガー
シガーの似合う俳優といえば・・
Vol.3 Cigar in the movie
映画の小道具としてのシガー
Vol.4 Humidor
ヒュミドールってなんですか?
Vol.5 Humidor2 "Keep your cigar"
葉巻をおいしく保管しましょう。
Vol.6 What is Cigar?
葉巻とタバコの違いって?
Vol.7 What is Cigar 2?
タバコの葉、見たことありますか?
Vol.8 What is Cigar 3?
たばこの価値はどれくらい?
Vol.9 What is Cigar ? 4
葉巻に潜む脅威!その名も「葉巻虫」
Vol.10 Tobacco Leaves
たばこ畑って、まだ都市圏にもあるんですよ。
Vol.11 This is Cigar
実は美味しいショートフィラー。
Vol.12 This is Cigar2
おいしい葉巻は職人技が支えてるんです。
Vol.13 葉巻の色は?
ラッパーの色ってこんなにあるんです
Vol.14 葉巻を造る
葉巻工場の秘密兵器とは?
Vol.15 コヒーバの光と陰
コヒーバの知られざる影とは?
Vol.16 コヒーバの闇に埋もれた男(前編)
コヒーバの知られざる影とは?
Vol.17 コヒーバの闇に埋もれた男(後編)
コヒーバの知られざる影とは?
Vol.18 葉巻の香り
葉巻とお酒のマリアージュ!
Vol.19 葉巻の保管(夏編)
夏の湿気対策は?
Vol.20 All About Dupont(前編)
いつかはデュポン
Vol.21 All About Dupont(後編)
ライターと映画の関係
Vol.22 いたりあ紀行(前編)
地球の裏側で見たタバコ文化
Vol.23 いたりあ紀行(後編)
ところ変われば・・・イタリアにて
Vol.24 「褻」と「晴れ」
シガーとハレの関係とは?
Vol.25 宴の後
宴(ハレ)の後・・・
Vol.26 夏の煙管
日本の技術が支える!独自のたばこ文化
Vol.27 夏の煙管2
刻みたばこってこんなに細いんです
Vol.28 夏の煙管3
煙管のメンテナンス
Vol.29 夏の煙管4
煙管の吸い方
Vol.30 クリスタルヨットクラブにて
シガーダイレクトクラブクラブミーティングに参加して
Vol.31 煙管5
夏だけじゃない、着物に煙管を粋に合わせるには?
Vol.32 Anniversary Cigar 1
記念日にシガーを贈る。そんな風習があるんです
Vol.33 Anniversary Cigar 2 
大事な日だからこそ、特別なシガーを贈りたい
Vol.34 シガーの選び方
誰も教えてくれない選び方の極意とは?
 
Vol.35 キューバからの贈り物
リングがないシガーの正体は…?
Vol.36 リミターダの誘惑(前編)
そもそも、リミテッドシガーとは…?
Vol.37 リミターダの誘惑(中編)
リミテッドシガーが生まれた理由とは?
 
Vol.38 リミターダの誘惑(後編)
リミテッドの歴史を追う!
Vol.39 ベーイケの夜に
ベーイケ52をいち早くレポート!
Vol40 シャーロック・ホームズのパイプ
シャーロック・ホームズの時代のパイプとは?
Vol41 Vintage Cigar ビンテージ・シガー 前編
意外と知られていない、ビンテージシガー
Vol42 Vintage Cigar ビンテージ・シガー 後編
熟成1年でビンテージシガー!?
Vol43 シャーロック・ホームズのパイプ2 PART1
パイプ喫煙の愉しさを知ろう!
Vol44 シャーロック・ホームズのパイプ2 PART2
クレイパイプとブライヤーパイプの違いとは?
Vol45 ブライヤーの木目の秘密を探る
木目は一体どうやっててできるのか?
Vol46 パイプの構造
パイプの中はどうして黒いの?
Vol47 煙管ブーム【緊急番外編】
嶋田さんが語る!キセルの最新事情
Vol48 パイプ −最初の1本−
あなたのパイプデビューをサポート
Vol49 手巻きたばこ
紙巻きのたばこについて
Vol50 手巻きたばこ2
紙巻きのたばこについて
Vol51 手巻きたばこ3
シガレットの巻き方、シャグの詰め方
Vol52 Regional Edition
その地域でしか吸えないハバナシガーって?
Vol53 シガーダイレクト100万人突破おめでとう!
ヒロ嶋田さんが特別に寄稿してくださいました!
Vol54 Cool&Dry Smoking1
美味しいパイプの楽しみ方教えます
Vol55 Cool&Dry Smoking2
ピーターソンの優れたシステム
Vol56 パイプ喫煙を始めるために
パイプ喫煙のポイントをわかりやすく解説!
Vol57 パイプたばこの詰め方
パイプ喫煙のポイントをわかりやすく解説!
Vol58 パイプ着火
ここで味が決まる!着火のポイント!
Vol59 タンパー
タンパー、コンパニオンの使い方教えます
Vol60 シャグたばこの巻紙の話題
大人の嗜みとしてのたばこ
Vol61 タンパーの使用法1
美味しくパイプを愉しもう!
Vol62 タンパーの使用法2
美味しくパイプを愉しもう!
Vol63 フェイクシガーの夜【1】
フェイクシガーの見分け方、教えます
Vol64 フェイクシガーの夜【2】
フェイクシガーの見分け方、教えます
Vol65 パイプ喫煙
なぜパイプは咽てしまうのか?徹底解説!
Vol66 ヒロ嶋田のパイプ喫煙法
ヒロ嶋田流!パイプの吸い方大公開!
Vol67 ヒロ嶋田のパイプ喫煙法 2
ヒロ嶋田流!パイプの吸い方大公開!
Vol68 ヒロ嶋田のパイプ喫煙法 3
ヒロ嶋田流!パイプの吸い方大公開!
Vol69 ヒロ嶋田のパイプ喫煙法 4
ヒロ嶋田流!パイプの吸い方大公開!
Vol70 ヒロ嶋田のパイプ喫煙法 5
ヒロ嶋田流!クールスモーキングとは!
Vol71 ヒロ嶋田のパイプ喫煙法 6
ヒロ嶋田流!ドローとブローについて!
Vol72 シガースモーカーのためのパイプ
まるで葉巻みたい!不思議なブライヤーシガー
Vol73 葉巻の煙
ヒロ嶋田さんの葉巻に関するエピソード
Vol74 香りの副産物
香りがもたらす様々な効果
Vol75 たばこの未来
大人の嗜好品としてのたばこ
Vol76 キューバンダビドフの誘惑
憧れの葉巻 キューバンダビドフ
Vol77 キューバンダビドフの誘惑 後編
幻の葉巻 キューバンダビドフ
Vol78 キューバンダビドフの誘惑 宴の後
幻の葉巻 キューバンダビドフ
Vol79 なんとなくフェイク
「ニセモノみたいな気がする・・・」
Vol80 シガーソムリエの資質
その人に思いをはせてシガーの満足を伝える
Vol81 栗名月
季節の移ろいとシガー
Vol82 徳大寺有恒氏追悼
ヒロ嶋田さんから、徳大寺先生へ
Vol83 スパイス
シガーとスパイスの相性とは
Vol84 ペリクという名のスパイス
たばこ界のスパイス「ペリク」とは
Vol85 雪解けの憂鬱
キューバとアメリカ、国交正常化
Vol86 雪解けの憂鬱 2
キューバとアメリカ、国交正常化
Vol87 雪解けの憂鬱 3
アメリカとキューバの現在
Vol88 モノクロームの景色 たばこが消える日
PP法とたばこの未来
Vol89 たばこが消える日 1
喫煙業界の未来と、たばこ最後のCM
Vol90 たばこが消える日 2
たばこの広告文化の栄枯盛衰
Vol91 たばこが消える日 3
たばこから始まる、文化の終わりの予兆
Vol92 たばこと文化 1
たばこが風習から文化になるまで
Vol93 たばこと文化 2
日本で花開いた、独自のたばこ文化
Vol94 たばこと文化 3
華のお江戸で栄えたたばこ関連の仕事


シガーについてわからないことやシガーのご依頼、コンシェルジュが懇切丁寧に対応します。
葉巻のご依頼はフリーコールで0800-919-3502


メールによるお問い合わせはinfo@cigardirect.jpまたはお問い合わせフォームをご利用ください。

Copyright(c) 2010 40%OFF! Cigar Direct All rights reserved.
掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。