Vol.49 手巻きたばこ
 先月のコラムはいかがでしたか?バーのネタになりましたか?

 49回目は、手巻きタバコにまつわる話。
 再度注目を浴びている手巻きタバコについて、
 ヒロ嶋田さんが語ってくださいます!

 今回のコラムも楽しみですね!
 (2011年6月)


ヒロ嶋田さんご紹介

長くシガーダイレクトのシガーアドバイザーをつとめてくださったヒロ嶋田さん。シガーに関する専門コラムである「スモーキートーク」は、シガーダイレクトの各種ページの中でも常時ベスト3に入るほど、固定のファンがいらっしゃいます。
「なんでも鑑定団」の喫煙具鑑定士さんも「あいつの舌は特別」と
おっしゃっていたのをお聞きしたことがあります。

「葉巻は嗜好品である。
自分の生活スタイルに色づけをする小物にすぎない。
大切なことは人の意見に振り回されることなく自分流を演出しよう。」
というスタンスは今も変わることなく、今月も原稿が届きました。


RYO(Roll Your Own)

▲手巻きタバコ


▲現在はこうした巻上げ用機械が存在する
ロール・ユア・オウンとは、自分でたばこを巻き上げ喫煙することで、手巻きたばこを指す。手巻きたばこは、シャグと呼ばれているが、欧米ではRYOとも呼ばれている。

そもそも、たばこを紙で巻く習慣が広まったのは、19世紀初頭のナポレオンの時代と言われる。当時は、上流階級においては嗅ぎたばこ(スナッフ)、庶民の間では、クレーパイプが一般的だった。戦地において、クレーパイプは壊れやすく実用的ではない。簡単に喫煙できて、携帯にも便利な紙を使用するようになったのは、必然だったろう。

紙は中国で発明され、中東を経て12世紀にスペインへもたらされ、17世紀頃にはヨーロッパ全土へ広がった。その頃の紙は、木材のパルプを原料とするものではなく、麻や木綿の繊維を原料としてのリサイクルだった。麻や綿の布を再生する以上、常に原料不足に悩まされていたが、18世紀半ばに木材を原料にする紙が出来上がり急速に普及した。

現代のシガレットは、19世紀にアメリカで発明されたシガレットの自動生産機から世界中に広がった。機械で生産をすれば、いつでもどこでも手軽に、そして同じ味のたばこを大量に生産することが出来る。

つまり、キャメル(※)は、アメリカでもヨーロッパでも同じ味と香りがするということだ。
それは、スモーカーにとって画期的なことだった。

また、シガレットの利点は、銜えて着火するだけで喫煙が出来るところで、
一旦着火すれば巻き紙とたばこが燃え続けてくれる。
それに対しシャグたばこは、着火しても自動的に燃え続ける事はない。

大量生産、大量消費の幕開けに相応しく、手軽に手短に喫煙できる現代の
シガレットは世界中を席巻した。
しかし、シガレットが大量されるようになる前までは、紙巻きとはシャグのことだった。



シャグの巻紙選び

▲このように巻く



▲フリーバーニング用




▲スローバーニング用



シャグを巻くのには、巻き紙選びが重要だ。
シガースモーカーで、紙巻を喫煙しない場合は、巻紙が燃焼する臭いが苦手だからということが多い。

シャグペーパーは、各社から様々なタイプのものが販売されている。どれを選ぶかは、喫煙者の好みであり、たばことの相性だろう。しかし、大切な条件があるとすると、たばこ本来の喫味を損なわないものを選ぶということか。

以前、いろいろなシャグペーパーを試してみたことがある。
巻き紙の厚さや長さの違いにより、たばこの味が変化した。

その中に、透明で一見、ビニールのようにも見える、変り種の巻き紙があった。
もちろん、化学繊維ではない。
セルロースを原料にして、無味無臭の透明のシートを巻紙に仕上げた製品だ。

これは、たばこを巻き上げるとスケルトン状になるので面白くもあったが、中身が見え、剥き出しの感じがするので、好みが分かれるところだろう。
筆者がいろいろな巻紙をテイスティングしていくうち、出会ったのが「Zig-Zag」だった。



フリーバーニングとスローバーニング

「Zig-Zag」の巻紙を大別すると2種類に分けることが出来る。
ひとつは、フリーバーニングという、一般的なシガレットに使用される紙の厚さで、たばこの燃焼速度と同じ速度で燃える。もうひとつは、スローバーニング。標準よりも薄く、燃焼速度も遅い。スローバーニングの良いところは、葉巻のようにドローを止めると自然に火が消えるので、灰皿の中が、火事になることがほとんどない。

各社、製造過程でたばこの味を変えない工夫を行っている中で、
筆者はなぜか「Zig-Zag」のスローバーニングが気になった。
現在でもシャグのテイスティングをするときには、「Zig-Zag」のスローバーニングを使うことが多い。紙のサイズも、ショートスモークが出来るようにレギュラーサイズのものを使う。

たばこは、着火直後の一服が旨い。
スローバーニングは、ゆっくりと燃えるため、たばこの燃焼を必要以上に邪魔することが無い。
また、燃え進むに従って、味に加わる雑味が無い。
これは、紙だけではなく、使用されている糊にも秘密があるとにらんでいる。
味に雑味を感じさせないのであれば、安心して喫煙できる。

先日、「手巻きタバコ STYLE BOOK」が雑誌レオンの別冊で発売された。
シャグに興味がある向きは、一度、手に取ってみると面白いだろう。



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ヒロ嶋田のスモーキートーク
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7つのCとは・・?
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シガーダイレクトクラブクラブミーティングに参加して
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