Vol.17
後編

いかがでしたか?
先月のコラムはバーのネタになりましたか?

17回目のこのコラム。16回目から首を長くして待っていた方も
いらしたんじゃないでしょうか?今回のテーマは
「コヒーバの闇に埋もれた男(後編)」

前回のコラムの続き、コヒーバの闇に埋もれた男!
コヒーバの葉巻を造った男、その葉巻とは?

今月のコラムも楽しみですね!


(2008年4月)

※編集部注 シガーダイレクトでは通常コィーバと表記しておりますが、このコラム内ではヒロ嶋田さんの表記にあわせてコヒーバとしております。


前回のつづきである。

それは、シカゴから始まった。
数年前、シカゴを旅したことがあった。
旅と言っても葉巻ショップ巡りとシカゴ美術館を覗いただけで、旅にはほど遠かった。
現在、日本で入手出来る葉巻の数は、相当数に上るが、アメリカのマーケットにはかなわない。ハバナの葉巻でさえ非公式に購入できるのが、アメリカである。
もちろん、旅行者がふらりと訪れてもハバナは手に入らない。
筆者は、偶然にもあるシガーショップにてハバナを手に入れることが出来た。
その経緯は、いずれ書いてみようと思う。


さて、シカゴのダウンタウンにある大きなショップを訪れたときである。
英語の堪能な友人と共に店員のお薦めを聞いていた。彼は商売熱心な若者で、日本から来た物好きにいろいろと説明や講釈をした上、商品を売りつけてくる。
筆者の目的も日本で流通していない葉巻を探すことであったので、かなりの数を購入した。
アメリカの葉巻やパイプを売る店が、日本と大きく違うのは、店内や隣接した場所に、購入してすぐに喫煙できる場所を持っていることだ。
東京でもそういう希有な店もあるが、残念ながら座り心地が良いソファやイスはない。店内には、常連客らしき人々が、旨そうに葉巻をふかしている。
筆者もその一員になるべく、カッターを取り出して一本に着火した。
 筆者の着火方法をパーティなどで見た、読者もいることだろう。
通常の方法とはずいぶん違っている。その様子を見た店員は、そのことに触れてきた。
通訳を兼ねた友人は、美味しく吸う葉巻の着火方法を彼に解説してくれた。
それを聞き終えたとき、店員は面白いことを話し出した。


シガーを年間1,000本吸って会得した着火方法を
披露するヒロ嶋田さん(3/29オフ会にて)
日本初!DVDつきビギナーズセット、ビギナー向け葉巻3本付!
ヒロ嶋田さんの着火方法は
こちらのビギナーズセット付属の
DVDに収録されています
詳細はこちら


日本には、ハバナが合法的に流通している。しかし、伝説のコヒーバを創造した男の葉巻は、手に入らないだろうと。そして、店の奥から一本の葉巻を持ってきた。
それが「イリザリ」ブランドの葉巻であった。アメリカでのコヒーバの葉巻の話である。
半分眉唾だと思い1本を購入し、帰国した。
 それからしばらくして、ある人物とそのことで話をした。その人は、喫煙具やその歴史に造形が深く、筆者の尊敬する人物でもある。
筆者の話を聞くや否や、氏は奥の倉庫から葉巻を持ってきた。それが、私が持ち帰ったものと同種のものであることは、すぐに判った。それから、その葉巻を入手した経路を話してくれた。

これがイリザリの葉巻だ!


「イリザリ」は、氏がある中国人実業家に会った際に紹介された。
中国人実業家は、本国で手広く事業を展開している人物である。実業家の話によるとキューバで葉巻の製造に携わっていたイリザリ氏をパートナーとして迎え、新しいブランドを立ち上げた。
イリザリ氏は、コヒーバのレシピを作った人物として、本国で知られた人物であると。

実業家は「我々はパートナーとしてドミニカで生産した葉を使用し、葉巻づくりを始めました。まだ、クオリティに関しては充分とは言えませんが、これを流通させる国を求めているのです。日本における代理店として独占的な販売を考えてみてくれませんか。」 
氏は、サンプルとしてその葉巻を日本に持ち帰り、テイスティングしてみた。たしかにドミニカらしい穏やかで品のある味わいだった。が、その当時ドミニカ産葉巻を生産する他の巨大葉巻メーカーとの取引が決まったばかりで、氏が求めていたのはもっと刺激的な味わいの製品であった。
結果この取引は、成立しなかった。



筆者もテイスティングを試みた。その味わいは、上品ではあるが力強さと土の香りも感じることが出来る。しかし、今はまだ発展途上の味わいであった。
この話は、もう数年前の出来事である。イリザリ氏の存在もしばらく忘れかけていた。
久しぶりに「イリザリ」を手に入れて改めて、考えてみた。
コヒーバの歴史の中で、そのレシピを考えた人間は、一人ではないはずだ。
なぜなら、コヒーバはシェイプによってその味わいは、微妙に違っている。
ランセロとエスプレンディードス、シグロシリーズと様々な味わいの一つ、ないし幾つかをイリザリ氏が創ったのではないか。
しかし、キューバを離れ別の国で、葉巻製造を始めた裏切り者を国が、許すはずはない。そこで彼の名前は、キューバから永久に抹殺された。

キューバ政府にその存在を抹消された男、稀代のペテン師かそれとも故国を捨て、葉巻創りの誇りに準じた男なのか。それを確かめにいつか会いに行きたいと思っている

現在シガーダイレクト全15種のコヒーバをご案内しています(編集部より)
※編集部注 シガーダイレクトでは通常コィーバと表記しておりますが、このコラム内ではヒロ嶋田さんの表記にあわせてコヒーバとしております。

当コラムについての著作権はすべてヒロ嶋田氏に帰属します。
お問い合わせはシガーダイレクトまで


ヒロ嶋田のスモーキートーク
バックナンバー
Vol.1 7C‘s
7つのCとは・・?
Vol.2 クリント・イーストウッドとシガー
シガーの似合う俳優といえば・・
Vol.3 Cigar in the movie
映画の小道具としてのシガー
Vol.4 Humidor
ヒュミドールってなんですか?
Vol.5 Humidor2 "Keep your cigar"
葉巻をおいしく保管しましょう。
Vol.6 What is Cigar?
葉巻とタバコの違いって?
Vol.7 What is Cigar 2?
タバコの葉、見たことありますか?
Vol.8 What is Cigar 3?
たばこの価値はどれくらい?
Vol.9 What is Cigar ? 4
葉巻に潜む脅威!その名も「葉巻虫」
Vol.10 Tobacco Leaves
たばこ畑って、まだ都市圏にもあるんですよ。
Vol.11 This is Cigar
実は美味しいショートフィラー。
Vol.12 This is Cigar2
おいしい葉巻は職人技が支えてるんです。
Vol.13 葉巻の色は?
ラッパーの色ってこんなにあるんです
Vol.14 葉巻を造る
葉巻工場の秘密兵器とは?
Vol.15 コヒーバの光と陰
コヒーバの知られざる影とは?
Vol.16 コヒーバの闇に埋もれた男(前編)
コヒーバの知られざる影とは?
Vol.17 コヒーバの闇に埋もれた男(後編)
コヒーバの知られざる影とは?
Vol.18 葉巻の香り
葉巻とお酒のマリアージュ!
Vol.19 葉巻の保管(夏編)
夏の湿気対策は?
Vol.20 All About Dupont(前編)
いつかはデュポン
Vol.21 All About Dupont(後編)
ライターと映画の関係
Vol.22 いたりあ紀行(前編)
地球の裏側で見たタバコ文化
Vol.23 いたりあ紀行(後編)
ところ変われば・・・イタリアにて
Vol.24 「褻」と「晴れ」
シガーとハレの関係とは?
Vol.25 宴の後
宴(ハレ)の後・・・
Vol.26 夏の煙管
日本の技術が支える!独自のたばこ文化
Vol.27 夏の煙管2
刻みたばこってこんなに細いんです
Vol.28 夏の煙管3
煙管のメンテナンス
Vol.29 夏の煙管4
煙管の吸い方
Vol.30 クリスタルヨットクラブにて
シガーダイレクトクラブクラブミーティングに参加して
Vol.31 煙管5
夏だけじゃない、着物に煙管を粋に合わせるには?
Vol.32 Anniversary Cigar 1
記念日にシガーを贈る。そんな風習があるんです
Vol.33 Anniversary Cigar 2
大事な日だからこそ、特別なシガーを贈りたい
Vol.34 シガーの選び方
誰も教えてくれない選び方の極意とは?
Vol.35 キューバからの贈り物
リングがないシガーの正体は…?
Vol.36 リミターダの誘惑(前編)
そもそも、リミテッドシガーとは…?
Vol.37 リミターダの誘惑(中編)
リミテッドシガーが生まれた理由とは?
Vol.38 リミターダの誘惑(後編)
リミテッドの歴史を追う!
Vol.39 ベーイケの夜に
ベーイケ52をいち早くレポート!
Vol40 シャーロック・ホームズのパイプ
シャーロック・ホームズの時代のパイプとは?
Vol41 Vintage Cigar ビンテージ・シガー 前編
意外と知られていない、ビンテージシガー
Vol42 Vintage Cigar ビンテージ・シガー 後編
熟成1年でビンテージシガー!?
Vol43 シャーロック・ホームズのパイプ2 PART1
パイプ喫煙の愉しさを知ろう!
Vol44 シャーロック・ホームズのパイプ2 PART2
クレイパイプとブライヤーパイプの違いとは?
Vol45 ブライヤーの木目の秘密を探る
木目は一体どうやっててできるのか?
Vol46 パイプの構造
パイプの中はどうして黒いの?
Vol47 煙管ブーム【緊急番外編】
嶋田さんが語る!キセルの最新事情
Vol48 パイプ −最初の1本−
あなたのパイプデビューをサポート
Vol49 手巻きたばこ
紙巻きのたばこについて
Vol50 手巻きたばこ2
紙巻きのたばこについて
Vol51 手巻きたばこ3
シガレットの巻き方、シャグの詰め方
Vol52 Regional Edition
その地域でしか吸えないハバナシガーって?
Vol53 シガーダイレクト100万人突破おめでとう!
ヒロ嶋田さんが特別に寄稿してくださいました!
Vol54 Cool&Dry Smoking1
美味しいパイプの楽しみ方教えます
Vol55 Cool&Dry Smoking2
ピーターソンの優れたシステム
Vol56 パイプ喫煙を始めるために
パイプ喫煙のポイントをわかりやすく解説!
Vol57 パイプたばこの詰め方
パイプ喫煙のポイントをわかりやすく解説!
Vol58 パイプ着火
ここで味が決まる!着火のポイント!
Vol59 タンパー
タンパー、コンパニオンの使い方教えます
Vol60 シャグたばこの巻紙の話題
大人の嗜みとしてのたばこ
Vol61 タンパーの使用法1
美味しくパイプを愉しもう!
Vol62 タンパーの使用法2
美味しくパイプを愉しもう!
Vol63 フェイクシガーの夜【1】
フェイクシガーの見分け方、教えます
Vol64 フェイクシガーの夜【2】
フェイクシガーの見分け方、教えます
Vol65 パイプ喫煙
なぜパイプは咽てしまうのか?徹底解説!
Vol66 ヒロ嶋田のパイプ喫煙法
ヒロ嶋田流!パイプの吸い方大公開!
Vol67 ヒロ嶋田のパイプ喫煙法 2
ヒロ嶋田流!パイプの吸い方大公開!
Vol68 ヒロ嶋田のパイプ喫煙法 3
ヒロ嶋田流!パイプの吸い方大公開!
Vol69 ヒロ嶋田のパイプ喫煙法 4
ヒロ嶋田流!パイプの吸い方大公開!
Vol70 ヒロ嶋田のパイプ喫煙法 5
ヒロ嶋田流!クールスモーキングとは!
Vol71 ヒロ嶋田のパイプ喫煙法 6
ヒロ嶋田流!ドローとブローについて!
Vol72 シガースモーカーのためのパイプ
まるで葉巻みたい!不思議なブライヤーシガー
Vol73 葉巻の煙
ヒロ嶋田さんの葉巻に関するエピソード
Vol74 香りの副産物
香りがもたらす様々な効果
Vol75 たばこの未来
大人の嗜好品としてのたばこ
Vol76 キューバンダビドフの誘惑
憧れの葉巻 キューバンダビドフ
Vol77 キューバンダビドフの誘惑 後編
幻の葉巻 キューバンダビドフ
Vol78 キューバンダビドフの誘惑 宴の後
幻の葉巻 キューバンダビドフ
Vol79 なんとなくフェイク
「ニセモノみたいな気がする・・・」
Vol80 シガーソムリエの資質
その人に思いをはせてシガーの満足を伝える
Vol81 栗名月
季節の移ろいとシガー
Vol82 徳大寺有恒氏追悼
ヒロ嶋田さんから、徳大寺先生へ
Vol83 スパイス
シガーとスパイスの相性とは
Vol84 ペリクという名のスパイス
たばこ界のスパイス「ペリク」とは
Vol85 雪解けの憂鬱
キューバとアメリカ、国交正常化
Vol86 雪解けの憂鬱 2
キューバとアメリカ、国交正常化
Vol87 雪解けの憂鬱 3
アメリカとキューバの現在
Vol88 モノクロームの景色 たばこが消える日
PP法とたばこの未来
Vol89 たばこが消える日 1
喫煙業界の未来と、たばこ最後のCM
Vol90 たばこが消える日 2
たばこの広告文化の栄枯盛衰
Vol91 たばこが消える日 3
たばこから始まる、文化の終わりの予兆
Vol92 たばこと文化 1
たばこが風習から文化になるまで
Vol93 たばこと文化 2
日本で花開いた、独自のたばこ文化
Vol94 たばこと文化 3
華のお江戸で栄えたたばこ関連の仕事


シガーについてわからないことやシガーのご依頼、コンシェルジュが懇切丁寧に対応します。
葉巻のご依頼はフリーコールで0800-919-3502


メールによるお問い合わせはinfo@cigardirect.jpまたはお問い合わせフォームをご利用ください。

葉巻、シガーを現地直送!シガーダイレクトトップページへ |  シガーを依頼 | blog【シガー&ブログナイト】 | サポーター(お客様)の声 | シガーグッズ 
シガーダイレクトとは  会社案内  お問い合わせ   PRIVACY POLICY   サイトマップ   バックナンバー
Copyright(c) 2010 40%OFF! Cigar Direct All rights reserved.
掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。