Vol.42 Vintage Cigarビンテージ・シガー 後編
先月のコラムはいかがでしたか？バーのネタになりましたか？

42回目は Vintage Cigar ビンテージ・シガー　後編
意外と知られていないビンテージ・シガーについて
ヒロ嶋田さんが語ってくださいます。

今回のコラムも楽しみですね！

（2010年11月）



1年熟成のビンテージ･シガー？


▲マカヌード
　ビンテージ・キャビネットセレクション


▲丁寧に保管されているのがよくわかります


▲リングとキャビネットに輝く1993の数字
日本では店によって、シガーの価格に違いはない。
財務省の認定した金額で取引され、国内で販売するシガーに時間による付加価値が加わることはない。

しかし、アメリカでは、州による課税額も違えば、店によって価格も違う。
特に流通量の少ないシガーは、店が決めた高値で取引される。
フュエンテのオーパスXなどがその例だ。

その反面、アメリカのたばこ店では、しばしばバーゲンを行い、在庫を一掃する。
その時の売れ残りや将来価値が出るだろうと予測したシガーを
店のヒュミドールに寝かせておく。

1年経つと昨年の葉巻は、ビンテージと称せられ、店に並ぶという具合だ。
しかし、1年では、充分に葉巻が円熟する時間とはいえない。
ビンテージという定義が曖昧だからこそ、このようなことが起こっている。

ハバナではないが、こんなものがある。
「マカヌード＝MACANUDO」のビンテージ・キャビネットセレクションだ。

1993年、上質なラッパーが収穫できた年に製造された。
製造国はジャマイカ、ラッパーは、コネチカット・シェードグローン。
キャラクターは、ミディアムフルだ。

マカヌードは、世界で最もメジャーな葉巻で、主にアメリカ市場で売買されている。
写真は、筆者所蔵のもので、17年経過して、確かにビンテージと呼べるにふさわしくなった。
ワインとシガー


▲シガーもワインも愉しみ方はたくさん


▲リアル・シガー・ナイト！のチャリティーオークションより、パンチ　チャーチル　1999年
11年物のオールド・ビンテージ
度々、ワインの話になる。ワインの寿命は、すべてが同じではない。
長い期間の熟成を重ねて、初めて飲み頃になるものもあれば、
ボジョーレ・ヌーボーのように新酒の時期に、お祭りとして楽しめるものもある。

シガーにも同じように寿命がある。
ただ、ハバナシガーは、単葉といって、同じ葉だけを使用して、巻いていくのではない。
各ブランドに独自のレシピがあり、様々な年代の葉をブレンドして作成する。
そのため、毎年同じ味のシガーを作成できるのだ。

ワインのように、当たり年の葉を使いビンテージとすることは出来ない。
当たり年の葉のみを使用しないということは、はずれ年というのもない。

とすると、時間の経過にしたがって、ファクトリーフレッシュ
（巻き上げられたばかりのシガー）、ビンテージ・シガー（充分に熟成した吸い頃のシガー）、そしてオールド・ビンテージと分けることが出来る。

まず、巻き上げられたばかりの葉巻は、新物の荒々しさや雑味を感じることがある。
これは、葉の熟成が十分でないシガーだ。
それは、煙のざらつき感だったり、アンモニア臭だったりする。
そんなシガーの味わいの角がとれるのに3年ほどの時間が必要だ。
一期一会を愉しむ


▲リアル･シガー･ツアーより、コイーバのラギート工場。巻き立てならぬ巻きかけシガー


▲リアル・シガー・ナイト！のチャリティーオークションより、コイーバ　エスプレンディードス 1997年
こちらも13年物なので、オールド･ビンテージ
シガーを保管庫大切に寝かせて、5年も経過すると、シガーのニコチンの含有量が少しずつ減少してくる。そして、7年が過ぎる頃、シガーは円熟した味わいを奏でる。

もちろん、10年以上の時間を経過しても、よく管理されたシガーは、
充分な喫味を残している。そこで、シガーを大別する指針を筆者なりに考えてみた。

ビンテージ・シガーとは、味わいが充分にまろやかになる、
7年以上経過したシガーだろう。

そして、円熟期を過ぎ涸れた味わいの中に、力強さを残す
オールド・ビンテージになるには、それから更に10年近くを要する。

オールド・ビンテージ・シガーは、市場でもなかなか手に入らない。
もし、見かけたら一期一会と考え、手に入れておくのが良い。
もう二度とめぐり合うことは、無いのかもしれないからだ。

ファクトリーフレッシュを購入し、自分でビンテージに育てるのも好し、
オールド・ビンテージを手に入れて、特別な記念に吸うのも好し、
それぞれのスタイルを持つことで遊びは、豊かになっていく。




当コラムについての著作権はすべてヒロ嶋田氏に帰属します。
お問い合わせはシガーダイレクトまで

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