Vol.37 リミターダの誘惑(中編)
先月のコラムはいかがでしたか?バーのネタになりましたか?

37回目はリミターダの誘惑。(中編)
価値があるといわれているけど、実際その解説をしているところは少ない
「リミテッド」とは、どんなシガーなのでしょう?

今回のコラムも楽しみですね!

(2010年6月)


 

何故リミテッドなのか

キューバで、リミテッド・エディションを初めて発売したのは、2000年だった。
社会主義の国キューバが、資本主義の国と葉巻を商業目的の売買することは、
いろいろと不都合がある。
その上、アメリカとの国交は、現在も回復していない。

そこで、キューバの国営の企業(実際にはほとんど私企業)であるハバノスSAが、
外国との取引を代行している。
アジアの拠点は香港にあり、日本は、アジアハバノスSAから多くの葉巻を供給されている。
ハバノスS.A.の変化

そのハバノスSAに2000年9月、変化が起こった。
スペインのたばこ会社「アルタディス」が、ハバノスSAの株の過半数を取得し、
傘下に収めたのだ。

これによって、ハバノスSAは、西側の企業に変化する。
自由主義世界における企業の一番の目的は、利益の追求だ。

当然、マーケティングを行い、売れる見込みがある葉巻の製造を増やし、
市場人気の低い製品の販売を中止する。

もちろん、葉巻人口が無限に増えれば、需要もうなぎのぼりに見込める。
しかし、喫煙人口は、世界的に減少傾向にある。
また、アメリカという巨大マーケットへの参入も目処が立っていない。


葉巻愛好者の嗜好も、ハバナ一辺倒ではなくなった。
特にアメリカ市場向けに中米諸国で生産される葉巻の品質が向上し、
ハバナと遜色ない味わいの葉巻が、増えた。
▲かつて「シガーのロールスロイス」と呼ばれたキューバンダビドフ。オークションでは100〜200万の値がつくことも

結果、市場に新しい風を吹き込むために、新しいブランドを立ち上げる必要が、出てくる。
だが、すべての新製品が受け入れられ、成果を出すことは難しい。
そのため、認知度の高い葉巻ブランドのスペシャル版を市場に投入することによって、
付加価値をもたらし、有利にビジネスを展開する。

それが、前回のコラムのDにある一般市場向けに特別にリリースした葉巻だ。
リミテッド・エディションはその先駆けのひとつだ。

活気上がるキューバ

COHIBA BEHIKE 
今年「Cohiba-Behike」を発表して、活気上がるキューバだ。

「ハバナのすべてがここに詰まっている」とまで、
バイス・プレジデントに言わしめた葉巻が、もうじき上陸する。
ハバナが変わりつつある。

アメリカで起こった、シガーブーム時代のハバナは、
素朴で垢抜けない印象があった。
そして、それは力強さにもつながっていたようにも思う。

「昔のハバナは、現代の製品とは、違っていた」と聞いたことがある。
教えてくれたのは、もう数十年のシガー人生を送る先輩だ。
50年前の葉巻を現代に体験することは難しい。
よほど運が良ければ、キューバンダンヒルやキューバンダビドフを
手に入れることができるだろう。

筆者も、何度か経験し、感じたことだ。

その昔のハバナは、葉巻の着火直後から口腔内に広がる濃い味わいが、
切れ目無く続いていく。まさにガツンと感じる味わいだった。
味の微妙な変化を感じるというより、ハバナの主張を堪能するための葉巻だった。

対して、現代のハバナは、着火直後から喫煙終了までの間に、
味の変化を楽しむことが出来る。ハバナらしい、味わいの濃厚さは健在だが、
繊細さもある。また、製品のバラつきも、一昔ほどではなくなった。

パッケージについても、同様だ。
昔は、1枚のカラーラベルを貼り付けただけの素朴な木箱や箱に
焼印を押しているだけの簡素な製品ばかりだった。

しかし、「ベーイケ」のパッケージングは、ピアノ塗装を施した
豪華な特別製の箱だ。近い将来、マニアの間でコレクションの対象になるだろう。
ハバナの新しい顔を待ち遠しく思う。



 





人気のエドモンドより一回り大きいサイズ。
シグロVIと同じサイズといえば、大体手に持った感じが想像できるんじゃないかと思います。
ちょうどバーでゆっくり吸うのに丁度いいサイズでしょうか。

Vol.38 リミターダの誘惑(後編) へ続く

当コラムについての著作権はすべてヒロ嶋田氏に帰属します。
お問い合わせはシガーダイレクトまで

ヒロ嶋田のスモーキートーク
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7つのCとは・・?
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シガーの似合う俳優といえば・・
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