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北方謙三先生インタビュー ８
| 北方先生 |
「ところがそれからしばらくするとポツポツコィーバが手に入るようになってねえ。で、聞いたらそういうことで、キューバンダビドフがなくなってしまった。」 |
| リンダ |
「そのときのコィーバと今のコィーバと味は違いますか？」 |
| 北方先生 |
「違う気がするね。全然違う気がする。そのときのコィーバはさ、満を持してるわけよ、カットするときだってさ、もう（ジェスチャーつきで）こうね、こう、（笑）フーっと吸って、フワーっとね（笑）、『ああ、コィーバだああ・・・！』って（笑）。
モヒート飲んでね、『この旅の目的は果たしたぜ・・・』なんてさあ！（笑）
もうあるかないか、わからないシガーだったんだから（笑）。それでコィーバを吸った日本人は俺と長浜さんと、長浜さんの師匠の立木義浩さんと、ジャイアント馬場さん・・・だけのはずだったんだけど、その後ポツポツと手に入るようになってねえ。
で、手に入るようになったときに買ってきたんだけど『どうも違うなあ・・・』。でトリニダード吸ったときに『ん？なんか似てるなあ』と思ったんだよ。、」 |
| リンダ |
「なるほどねえ・・・（笑）」 |
| 北方先生 |
「アメリカ人ってさ、ものすごくシガーが好きなんだよね。カートのレースなんかあるじゃない？おもしろいんだよね。で、観客席にいるじゃない。するとね、昔駅で、駅弁売りっていたじゃない？そういうのが来るんだよ。『何売ってんのかなあ』なんて思ってたんだどね。
一緒に行ったヤツが紙巻タバコを吸ってたんだよ。屋外だしさあ、するとね、みんな冷たい目で見るんだよ。」 |
| リンダ |
「どうしてですか？」 |
| 北方先生 |
「いやね、さっきの駅弁売りみたいなヤツ、見るとシガーなんだよ。でさ、俺一本買って試しに火をつけたら誰も文句言わない。シガーって特別なんだよね。
街中ですれ違う車の中でさ、シガー吸ってるヤツいたりするしね。」
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| リンダ |
「へー。」 |
| 北方先生 |
「ところがさ、そんなに好きなのに、ハバナシガーみたいにいいものができない。どうしてもできない。
だってさあ、難民受け入れるでしょう？フロリダで受け入れるんだけど、するとねえ、シガー工場で働いていたヤツとか、タバコ畑で働いていたヤツとか、シガー関係のことやっていたヤツとかね、で、種だけ輸入してさ、同じものを育てて作ろうとしたんだよ。
でも、絶対にできない。
遂に頭にきてさあ。」 |
| リンダ |
「（笑）」 |
| 北方先生 |
「アメリカはキューバ島に土地持ってんだよ。知ってる？」
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| インタビュアー |
「聞いたことがあるような気がします。」 |
| 北方先生 |
「ガンタナモってんだよ。米軍の基地があるんだよ。これは前政権からの租借権の契約だから、政権が変わってもまだ持っているんだよ。香港みたいなもんだよね。」 |
| リンダ |
「なるほど。」 |
| 北方先生 |
「そこがキューバ島の東なんだよね。
今イラクでバンバンつかまってるの、全部ガンタナモに送られるんだよね。
そのガンタナモで作ったんだよ、遂に（笑）。」 |
| リンダ |
「へー！」
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| 北方先生 |
「『キューバじゃなきゃできない！』って（笑）。だけど同じものができないんだよ。なぜかっていうとね、キューバ島の西じゃなきゃできないんだよ。
だから（普通ハバナ・シガーと言って）キューバ産とか言わないんだよ。『ハバナ産』って言うんだよ。」
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| インタビュアー |
「！なるほどお！」 |
| 北方先生 |
「それでもさあ、ニューヨークなんかシガーバー一杯あるんだから。そこにハバナじゃないコィーバもロメオもモンテもあるんだよ。でも、そんなの吸うより、マカヌードとかね、ジャマイカ産の方がよっぽどいいんだから。ジャマイカで作っている中で一番いい葉巻の方が、アメリカ産とか、ハバナ産ではない、有名ブランドの名前だけついてるヤツよりよっぽどいい気がする。」 |
| インタビュアー |
「なるほど。」 |
| 北方先生 |
「アメリカでは何度も言われたんだけどさ・・・ニューヨークの近くのメリーランドって街でシガー吸ってたわけ。そしたら人が近寄ってきて、咎められるのかって思ったんだよ、そしたら年寄りでね、『あなたが吸っているのはもしかしてハバナ・シガーじゃないか？』って。」 |
| 一同 |
「ほー。」 |
| 北方先生 |
「『そうですよ』って言うと、煙を仰いでね、『う〜ん、懐かしい！』ってしみじみと香を嗅いでいるんだよね（笑）。」 |
| 一同 |
「へー！香を！」 |
| 北方先生 |
「（笑）『懐かしいー！』って。『そんなにお好きですか？』って一本差し上げたんだよ。そうすると『ホテル教えてくれ』って言うわけ。そしたらさ、翌朝マカヌードが一箱届いてたんだよ。モンテクリスト一本が、そのくらいの価値があったんだよねえ。」
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| リンダ |
「すごい話ですねえ。」 |
| インタビュアー |
「先生のお好きなシガーは何ですか？もし今吸うとしたら」 |
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コィーバ シグロI
