北方謙三先生インタビュー 7
一同 |
「へー。」 |
北方先生 |
「どこ行ったって座頭市がかかってるわけ。そしてさ、座頭市は刀持ってるから、キューバの人から見ると、“侍”なんだよ。」 |
リンダ |
「へー!」 |
北方先生 |
「でさ、すごく偉そうな人がツカツカと寄ってきて、『大変失礼ですが、あなたは侍ですか?って(笑)。」 |
リンダ |
「(笑)」 |
北方先生 |
「だからさ、(ぐっと身を乗り出して低い声で)『今あそこで14人斬ってきた・・・』とか言ってさ(笑)。」 |
一同 |
「(爆)」 |
北方先生 |
「もう、もてたもてた!(笑)でさあ、観光大臣がね、『勝新太郎にそっくりなヤツがいる!』って外務大臣に会わせてくれたんだよ。
で、外務大臣にさ、『コィーバ、コィーバ』って言ったら!
手に入れてくれたんだよ!」
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リンダ |
「すごい!」 |
北方先生 |
「・・・勝さんにかわいがってもらってたんだけどさ、キューバから帰ってきてさ。・・・勝さんってね、もう、今の世の中だったら生きにくいんじゃないかってくらい優しい人なんだよ、ただちょっと荒っぽく見える。自分より弱い人にはものすごく優しいんだよね。それがさ、そのときはさ、勝さんより立場上弱い俺にさ、(笑)耳をひっつかまえてさ、『こらあ!』なんてさ(笑)、『お前、キューバでいい思いしただろ!』って(笑)。」 |
リンダ |
「(笑)聞こえてたんだ!。」 |
北方先生 |
「(笑)『お前、キューバでいい思いしただろ!』って言われたから、『はい、しました!』って。『俺がキューバに行ったときはなあ!』って教えてくれたのが、赤じゅうたんで迎えられたんだって。で、次から次に『うわあ!いいなあ!』って思う女性が来るんだけど、誰も気がきかなくて、次々に来て消えるだけだったんだって。『俺はいい女を見せられただけだった!』だって(笑)。」 |
リンダ |
「おあずけ!(笑)」 |
北方先生 |
「(笑)・・・ホントにいい思いしたんだよ。俺をね、フワーっと抱きしめてきた女がね、俺の耳元でね、『ケンゾウ』とは言わないわけよ、『・・・イチィ・・・!』って言うんだよ(笑)。(抱きしめて)『市ィ・・・!』って。もうもてたよ!(笑)
そこで36本ね、コィーバを手に入れたんです。」
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リンダ |
「へー」 |
北方先生 |
「そんときのコィーバって、ホントに手に入んなくて、キューバ島の西にあるコィーバの畑がね、ホントに狭くてねエ。」 |
インタビュアー |
「何年前くらいですか?」 |
北方先生 |
「これはねえ、24〜5年前だったかなあ。
・・・そこで作られていたんだけど、そのまわりにダビドフの畑があったんだよ。」 |
リンダ |
「へー!」
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北方先生 |
「ダビドフが、何をやったかというと、革命で荒れてしまったハバナ産シガーの畑を全部在庫したんだよ。だから、コィーバの畑の周りはダビドフの畑。」 |
インタビュアー |
「へえ!」 |
北方先生 |
「ところがさ、『コィーバが売れる』ってわかって、政府がダビドフの畑を接収してしまったんだよ。」 |
インタビュアー |
「えー。」 |
北方先生 |
「接収してさ、そこでコィーバ作るようになったの。でさ、接収したダビドフの畑でコィーバ作るようになって、その真ん中にあった、コィーバの畑だったところは、トリニダードの畑にしちゃったんだよ。」 |
一同 |
「へー!」 |
北方先生 |
「それでダビドフは怒っちゃって、キューバから撤収しちゃったんだよ。撤収してハバナ産のダビドフは・・・ね?今はない。」
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リンダ |
「それでえ!」 |
北方先生 |
「36本のコィーバを手に入れたんだけど、どうしても欲しいって人がいてさ、エッセイなんかにも書いたけどね、どうしても欲しいってんで、『そんなにお好きなら』って3本差し上げたら、それからね、ズーっと全日本プロレスのアリーナ席の一番いい席のチケットをズーっと送ってくれてね。
ジャイアント馬場さんだよ。」 |
一同 |
「あー!」 |
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