は、島地さんと私との出会いは30年前にさかのぼるんです。
まさか30年前の憧れの人をいきなり目の前にすることがあろうなんて、思いもしませんでした。
年前、本屋で偶然手にした本が『極道辻説法』でした。
著者は天台宗大僧正であり、直木賞作家であった今東光和尚。元々文学好きであった私は、今和尚の川端康成との交友録や芥川龍之介との逸話、東西問わず歴史の中に隠れた人間ドラマといったものに、すっかり毒気にあてられてしまいました。
そして今和尚はそれだけの経験を持ちながら、中学生の私と同じ目線までおりてきて、「どうだい、小僧、人生っておもしろいだろう?」と言っているようでした。
の極道辻説法。続編、最終版(途中で亡くなる)の3冊を通じて登場する、今和尚の担当だった編集が、当時の島地さんだったのです。 本の中では「シマジ、シマジ」と書かれています。
そのやりとりに、田舎の文学少年はすっかり憧れていたのです。
文学少年は大人になりましたが、今も相変わらずの本好き。そして仕事の関係もあって、『不夜城』の馳星周先生から集英社インターナショナルの社長をしていらっしゃった(2008年当時)島地さんを紹介していただくところまで、人のご縁はつながったんです。
地さんのサロンで今和尚の写真が飾ってあったのをみたときは驚きました。ハタと思い当たり、『すみません、ひょっとして「極道辻説法」のシマジさんですか?』と聞いたのは言うまでもありません。
この瞬間に、集英社インターナショナルとシガーダイレクトは熱い接吻を交わしました。 その後、島地さんと企画をしつつ、遊びつつ、いろんなエピソードや人生のエスプリをお聞きしながらときに食事し、ときにシガーをくゆらせ、豊かな時間を過ごさせてもらいました。
回出版された『甘い生活』は、日本のマルチェロ・マストロヤンニとして伝説の編集者となった島地さんの人生が詰まっています。ときに大笑いし、ときにうなり、ときに胸がしめつけられるような話が満載です。
今和尚や柴田錬三郎さん、開高健さんを始め、なんと華やかな交友歴。そして一見華やかなんですが、その甘くせつない男のつきあいは、私のような若輩には憧れです。
もちろんシガーやシングルモルト、ワインの話も満載、シガーダイレクトのことを書いていただいていて、本当にありがたく思います。
あるスタッフが「それ、おもしろいんですか?」と聞きました。
私にはおもしろいかおもしろくないかを判断するなんておこがましい。ここにつまっているのは現役の男として伝説となった編集者の68年の人生だからです。
マジさんは豪快な人ですから、どこを切り取ってもおもしろい。だから人によっては誤解してしまう人もいるでしょう。しかし、おつきあいさせてもらうと、その裏にある愛情を感じるのです。
「どうだい、お前もがんばれよ」といつも激励されているように感じます。 今和尚からシマジさんが学んだごとく、私もシマジさんとシガーのときを通じて男の人生を学びたいと思います。
一見おもしろおかしく書いてあるエピソードの数々。ぜひ読んでみてください。
シガーを一人で楽しむときの一冊に最適です。
私たちは『甘い生活』を応援します。
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