島地 バーテンダーが一人でやっている、シャレた小さなバーがありましてね。もちろんカウンターだけの…。しかし、なぜか馬が一頭、カウンターの中にいる。
そこへ、ひとりの男が入ってくる。「インペリアルをストレートでくれ」それをちびりちびりとやっていると、バーテンダーが、「お客さん、この馬を笑わせたら、今夜の飲み代は何を飲んでもタダにします。でも、トライして馬が笑わなかったら、飲み代は倍ってのはどうです?」
「フーン、おもしろいな。どうせタダになるんじゃ、次はプレステージ25年にしようか」といいながら、男は馬にちょっと耳をかせと合図した。男が馬の耳になにか一言ささやいた途端、馬がグッハハハハと笑い出した。
男はそれから店の看板まで、ゆっくりと何杯もプレステージ25年を飲んだ…。
開高 フム、フム…。
島地 次の晩、また男がバーにやってきた。バーテンダーが今度はこういった。「今夜はお客さん、この馬を泣かせてみますか?」なるほど、ちょっとこの馬を1、2分、貸してくれるかい」と「いって、男は馬を店の外へ連れ出して、またすぐ戻ってきた。見ると、馬がしくしく泣いているではないか。バーテンダーが驚いている前で、その晩も男はいい酒をたっぷりタダで飲んで帰って行った。
開高 …。
島地 あくる晩も男はやってきた。たまりかねて、バーテンダーがいった。「今晩は最初からタダにしますから、どうしてこの馬を笑わせたり、泣かせたりできるのか教えてくださいよ」男は笑っていった。「簡単なことさ。オレがこいつの耳元にささやいたのは、『俺の魔羅はお前のよりデカイんだ』それから、この馬が泣いたのは、ドアの外でチャックを下して俺のデカマラを本当に見せてやったからだよ